この春第一志望校に合格し、塾を卒業した高1の女の子が挨拶に来てくれました^^
「お久しぶりですぅ」と見せてくれた顔はとても元気そうで、中3の頃とは明らかに違っていました。
実を言うと、彼女は今も目に苦労を抱えています。
この時、改めて知ったのですが、彼女は小学5年の時から視力に問題が出たそうです。
そして中3の時に症状が悪くなり、高校受験を目前にした去年の冬には、視力を失うかもしれないという状況でした。
そんな不安いっぱいの精神状態の中で、さあ受験勉強に励もう!と言ってできるでしょうか?
できるはずがないですよね?!
あと2,3ヶ月後には入試がやってくる、でも勉強しようにもテキストの文字がよく見えない、
当時お母さまとも電話やメールで何度もやり取りをさせていただきましたが、ご家族の心配はそれはそれは尋常ではなかったと思います。
目のことはもちろんのこと、何とか娘を高校へは行かせてあげたい、その焦りでいっぱいでした。
でも・・・・
焦りを一番感じていたのは、まぎれもなく彼女だったはずです。
受験がやってくる、やらなきゃいけない、でも気持ちが落ち込んで、やる気など全く起こってこない。
自暴自棄にもなる。
「もう高校なんてどうでもいい・・」と漏らしたこともありました。
私も医者ではないですから、目のことについて的確なアドバイスをしてあげることはもちろんできません。
私にできたことは、
『ただ、彼女のお話を聞いてあげること』
でした。
「そりゃ、目が見えなくなるかもしれないって、不安で不安で仕方がないよな。そんな時に勉強しろって言われても、正直できないと先生も思う。焦る気持ちも本当によくわかる。」
さらに私は、
「だったらこの際、一度勉強のことは頭から切り離して、ゆっくり、リラックスしてみたら?」
と言いました。
私に合格への算段があったのか?・・・正直ありませんでした。
ですが、彼女の話を聞き、彼女の状況を見ていると、
勉強しなさいという言葉は”逆効果”だとその時感じたんです。
「受験勉強をしなきゃいけない・・・・」
このことが何よりも彼女の頭に先立って、
自分の本当の気持ちや、ストレスの持っていき場を失っているのでは、と感じたんです。
そして、
中学生には酷だったと思いますが、
「彼女自身が自分と向き合い、自分でやろうと少しでも思ってもらえること」、これが向かうべき目標であり、
そのためには、私は「凍った氷をじっくり溶かしていくように」フォローし続けようと思いました。
「塾に来ます」と言って、来れない日々、
そんな日がしばらく続きました。
ですが、塾に来れた時は、それは集中してくれたんです。
お母さまからお話を聞くと、
「塾から帰って来た時は、明らかに娘の表情が変わっているんです!笑顔が見えるんです!」
本当に嬉しいお言葉でした。
冬期講習は、直前に手術をしたため、ほとんど来られず、模試も受けられませんでした。
でも、数回でも塾に来られた時には、まず彼女とお話をし、リラックスしてもらい、その後に小論文対策や拡大コピーして見やすくした過去問を範囲を絞って取り組みました。
”彼女の肩に入った力を抜くこと”
これも私の役割でした。
決して十分とは言えない準備の末、
そんな彼女が、入試に臨みました。
先にやってくる、公立高校推薦入試は小論文と面接。
彼女の話では手応えがあったし、しっかり書けた、答えられたとのこと。
私も「良かったな!頑張ったな!」と期待はしたものの結果は、不合格・・・。
自信があっただけに彼女のショックは大きかったと思います。
ですが彼女の立ち直りは早く、
次の公立一般入試に気持ちを切り替えます!とのこと。
拡大コピーした過去問のできるところを限定して取り組みました。そして、モチベーションを維持するために常に彼女とは色んなお話をしました。
そして、公立一般入試。
入試直前に「障害者の認定」をいただいたことで、
試験時間は通常の1.5倍の1教科80分。
ただテストの文字は通常のサイズであるため、
書いてある文字を判別するだけでも大きなストレスがかかる中でのテストでした。
私が最も心配したのは、
テストの問題が解ける解けないということよりもむしろ、
今まで長時間連続の学習を経験したことがない、
そんな中、目を広げたり狭めたりしながら、必死でテストの文字を追い、80分×5教科=約7時間 ぶっ通しのテストに果たして耐えられるか、ということでした。
テスト後、すぐに連絡をくれ、
「何とか最後までやり切りました」という言葉。
嬉しかったですし、ほっとしました。
「よく頑張ったな!あとは結果を待つだけ。今日はゆっくり休んでな」と伝えました。
そして、合格発表日・・・
発表の掲示がされたであろう時間から、
30分後ぐらいだったと思います。
「先生、合格しましたぁ!!!やりましたぁ!!
ありがとうございます!!」
彼女の声はもちろん興奮していました!!
「おめでとーー!!良かったなあーー!!
ほんま、よー頑張ったなあ!!
7時間もぶっ通しのテストでよー頑張ったなあ!!
ほんとおめでとう!!!」
お母さまのお話では、発表後、すぐに塾の先生に電話する!と言ってくれたそうです。
あれから約5ヶ月が経ったこの夏休みに、
彼女が塾に来てくれたのです。第一声が、
『高校生活、すごく楽しいです!!
すごく充実してます!!!』ですって
目の方は経過を見ながら処置を考える、とお医者さんも言っているらしく、
「あんまり気にしても仕方ないし、ゆったりと考えます。
中3の時はほんまに大変やったけど、
なんか今は冷静に考えられるし、気持ちに少しゆとりができました。
高校の友達もみんないい人ばっかりで充実してます。
でも・・正直・・時々あの中3の時のような、どうしようもない気持ちに陥ってしまわないかって不安になる時もあるんです・・
先生、○○しなきゃいけないかなとか、○○した方がいいのかなと思ったりすることがあるんですが、
無理せず、自分の思うようにしてもいいでんすかね?」
思わず私は、
「全然、無理しなくていい!!
もう十分頑張っとる!!!
○○さんは、自分が思うように進んだらいいよ!!」
最後に、
『またいつでも来てな!』
『ハイ!! また来ます!!』ですって
最後までお読みいただきありがとうございました。
神戸市中央区三宮町(三宮・元町)個別指導個人学習塾 「順進塾」
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